雑誌 HIGHSNOBIETY 2023F/WにてT.Tにフィーチャーしたカバーストーリーのライティングを行いました。京都にステイして、故・高橋大雅さんの軌跡を振り返りながら、描いてきたビジョンとブランドの今後についてをポエムのように綴るというものになりました。
新しいストーリーを歩みだしたT.Tの挑戦は、高橋大雅氏の信念を新たなクリエイションに昇華させ続けること。学びと制作を異次元的に行なっていた大雅さんの脳内宇宙を理解して出力するという果てしない挑戦は、伝統の継承を使命に祈りのようにすがり、時に背中を押され、急き立てられるようにきっと今日も更新されている。誇らしいばかりではないだろうし、身を割かれる時もあるだろう。途方にくれて頭をかかえながらも、彼が気づかせてくれた希望の光は彼の彫刻のように無限の空へと高く広がっていく。祇園のお店を入った正面の壁にある細い隙間、そこから先に広がる空間の気配に漂うのは異次元を垣間見るような奇妙な感覚。彼の現代美術が置かれ、こだわりの内装が施された店内は、彼の難解な注文を通して伝統が知らぬ間に更新されていて、それはきっと職人たちの手によって引き継がれていく。彼らは未来を創るために過去への旅を続け、実直な手作業をもって次の世代へと紡いでいくのだろう。
